先週の「週刊ポスト」が安楽死など死にまつわる話題を特集していました。
記事の一部が、ウェブでも公開されています。
安楽死 世界的に広がりつつある容認の実態
米の安楽死 自分らしく生きるため尊厳ある死を選ぶ傾向
海外では徐々に安楽死(医師による自殺幇助)合法化が進みつつあります。オランダ、スイス、ベルギー、アメリカの一部の州。最近はカナダでも医師による自殺幇助が合法化されました。
日本では、安楽死よりマイルドな尊厳死についても強硬な反対論が存在し、法律に制定することすらままならない状況です。安楽死については、こうして週刊誌が取り上げることはあっても、合法化が大っぴらに提案されるのは現時点では望み薄と言わざるを得ません。
とは言え、死や葬送をめぐる日本人の意識はこの二十年あまりですっかり変わりました。十年、二十年の単位で考えれば、安楽死容認派が多数派、それも圧倒的多数派になることも考えられなくはありません。今から頭のトレーニングをしておき、制度ができたときにより良いものになるよう備えておくのは大切なことだと考えます。少なくとも、議論することすらタブー、なんてことにはしたくないものです。
■アジアで合法化?
日本で合法化の議論が進むためには、非欧米・非キリスト教の国で安楽死が合法化されるのが大きなきっかけになるような気がします。特に地理的・文化的に近いアジア諸国、韓国・台湾・シンガポール・中国あたりで合法化された場合です。
ベルギーやスイスのことだとどうしても「別の世界のことだ」みたいに感じてしまいがちですが、アジアでも安楽死できるところが出てきて、仮に日本人が安楽死ツアーなんかに行くようになったら、議論はもっと身に迫ったものとなるのではないでしょうか。それでなくても、テレビ・新聞等のメディアがしっかり取材・レポートしてくれることと思います。
■安楽死できなければ、自殺するしか
そしてもう一つ、日本では安楽死合法化の前に終末期患者や難病患者による自殺が定着するかもしれません。私ももし死を望むようになり、それでも日本で安楽死できなければ、この道を選ぶつもりです。たとえば絶食、あるいは致死的な毒物の摂取など。さすがに鉄道自殺は大勢の人に迷惑を掛けるので、やらない方が良いですが。
■安楽死実現で、起こること
安楽死が合法化された国では、安楽死を望む人よりもそれを実践する人のほうがずっと少ないようです。「いざ」というときにそうした選択肢があるというのが安心感となって、ある程度までは苦しみに耐えられる面があるようです。もちろん、安易に死を選ぶ人が出ないとは限りませんが、それは結局その人の問題です。
安楽死が選べるようになれば、全体としては死や人生に対する構えがもっと真剣味を帯びてくるのではないでしょうか。私としては、日本人が命や死についてもっと深く真剣に考え、その結果として過半数の人が自ずと「安楽死も場合によってはありだよね」と考えるようになるのが希望です。できれば、生きているうちにそれが実現するのを見届けたいものです。そのためにも、急いで死ぬつもりはありませんよ。